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ファクタリングのシステムを利用するのはこのような時
会社というのは、基本的に営業で販売した代金を回収し、そのお金でもって新しい商品を仕入れたり、従業員の給料を支払ったり、会社の維持に必要な費用を支払ったりします。
従って、販売した代金の回収が遅れると、支払いに充てる現金が不足することになります。しまいには、販売が順調であるのに、現金が無くなることで倒産しかねません。
俗に「黒字倒産」とはこのことであり、営業上の数値では儲かっているのに、現金が不足することで経営が行き詰ります。
それを防ぐ手段として利用されるのがファクタリングです。取引先に対する売掛債権を売却して、現金に換えます。
※こちらの現金化コラムでお金を作る方法も閲覧してみてください。
ファクタリングにおける売掛債権を現金に換金するシステム
ファクタリングというのは簡単に言うと「売掛債権(売掛金)」という権利をファクタリング業者に売却し、その代金を即時に受領することです。そのことによって、すぐに現金を手に入れられるため、仕入れ代金や人件費、家賃、維持費などの事業に必要な資金に回すことができます。
ファクタリング業者は、依頼会社が所有していた取引先に対する売掛債権という権利を得ます。また、売掛債権の買取額は売掛債権の額面額より少ない金額になっており、その差額(手数料)がファクタリング業社の利益になります。
なお、ファクタリングにはファクタリング業者と依頼会社で行う「2社間ファクタリング」と、依頼会社の取引先が加わる「3社間ファクタリング」があります。
ファクタリング手数料の相場は以下になっています。
・3社間ファクタリング:1~5%
・2社間ファクタリング:6~30%
ファクタリングにおける手数料の差は、依頼会社の信用力が大きく影響します。つまり、ファクタリング業者における回収リスクが手数料の利率に反映しています。
2社間ファクタリングの内容と手続きに含まれる債権譲渡登記
2社間ファクタリングでは、依頼会社とファクタリング業者の2社だけで契約を結びます。
契約後、ファクタリング業者は売掛債権の金額から手数料を除いた額を依頼会社に支払います。
契約締結の時点で、売掛債権はファクタリング業者の所有になりますが、ファクタリング業者は取引先(売掛先)への回収作業を行いません。
このことが3社間ファクタリングとの違いにもなっています。
2社間ファクタリングでは、売掛債権の支払期日が来ると通常通り、依頼会社が取引先から回収業務を行います。そして、回収した金額をそのままファクタリング業者に送金します。
なお、ファクタリング業者にとっては、依頼会社が間違いなく回収金額を全額入金するのかということがリスクとして残ります。そこで、行われるのが債権譲渡登記です。
債権譲渡登記とは、売掛債権の権利が依頼会社からファクタリング業者に移転したということを法務局に登記することで、対外的に権利の所有を明確にするものです。登記を済ますと、依頼会社から債権額を確実に回収することができ、また第三者に対しても売掛債権の所有を主張することができます。
3社間ファクタリングの内容と利用上のメリット・デメリット
3社間ファクタリングでは、依頼会社・ファクタリング業者・取引先の3社間で契約が交わされます。つまり、2社間ファクタリングと違って「取引先の同意」が必要になります。そして、2社間ファクタリングとは違い、取引先は支払期日に支払先(依頼会社)ではなく、ファクタリング業者に直接代金を支払います。
3社間ファクタリングが2社間とは違うシステムを採っていることで、依頼会社にとっては以下のメリット・デメリットがあります。
1.メリット
ファクタリング業者にとっては、依頼会社に加えて取引先が契約相手になることで回収リスクが大幅に減少するため、手数料を安くしています。また、債権譲渡登記の手間の無いことも手数料の安さに繋がっています。
2.デメリット
・取引先の承諾が必要
取引先の承諾が必要なため、承諾書に署名してもらう面倒な手間がかかります。
・換金までの日数
取引先の承諾に日数がかかるために即時での換金ができず、緊急性がある場合は利用できません。
・信用の低下
売掛債権の売却行為が自社の経営状態に対する疑念を抱かれる可能性があります。そのことが取引先からの取引の縮小につながる恐れがあります。
ファクタリングにおける売掛債権の売却と現金化の実態
ファクタリングはファクタリング業者からお金を借りるのではなく、あくまでも売掛債権を売却するものです。従って、利息というものはありません。
中小企業は資金面での余裕がないため、現金の出し入れのフローチャートが非常に重要になります。
売上債権の早期回収が安定経営には必須なことから、その点でファクタリングは現金化のための有効な手段になります。
経済産業省も中小企業の資金調達手法の一つとして、ファクタリングの利用を推奨しています。
ただ、2社間ファクタリングに必要となる債権譲渡登記は法人にしかできないため、個人事業主は利用できません。さらに、2社間ファクタリングは貸倒れのリスクが大きいことや、債権譲渡登記という手間のかかることがあるため、大手ファクタリング業者は3社間ファクタリングしか取扱っていません。
ところが、3社間ファクタリングの場合は取引先の承諾が必要なため、信用問題が影響して個人事業主や中小の会社は3社間ファクタリングに踏み込めません。
このようなことが、ファクタリングが日本に定着しない最大の理由になっています。